安倍首相演説に「韓国は最も重要な隣国」が復活 ただし「元来」が付き、約束順守を要求 切実メッセージに込められた思い

「基本的な価値の共有」は2014年以来6年ぶりの復活
2016年施政方針演説
「韓国とは、昨年末、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認し、長年の懸案に終止符を打ちました。戦略的利益を共有する最も重要な隣国として、新しい時代の協力関係を築き、東アジアの平和と繁栄を確かなものとしてまいります。」

2015年施政方針演説
「韓国は、最も重要な隣国です。日韓国交正常化五十周年を迎え、関係改善に向けて話合いを積み重ねてまいります。対話のドアは、常にオープンであります。」

2014年施政方針演説
「韓国は、基本的な価値や利益を共有する、最も重要な隣国です。日韓の良好な関係は、両国のみならず、東アジアの平和と繁栄にとって不可欠であり、大局的な観点から協力関係の構築に努めてまいります。」

この2014年になって、「基本的価値を共有」という表現が出てきた。この「基本的価値」という言葉には自由や民主主義、人権重視という意味が込められている。それが2015年に消えたのは、産経新聞のソウル支局長が当時の朴槿恵大統領に関する記事をめぐって起訴された事件が背景にあった。今回は、それ以来の「基本的価値を共有」の復活になるわけで、いわゆる元徴用工をめぐる問題がまだ解決していない中では、破格の扱いにも見える。

ただ、忘れてはならないのは、その「最も重要な隣国」としての韓国は「元来」=つまり元々はそうだったという、過去形の意味を匂わせている点だ。今一度、今回の文言を見てみる。

「韓国は、元来、基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国であります。であればこそ、国と国との約束を守り、未来志向の両国関係を築き上げることを、切に期待いたします。」

このように日本として、「韓国さんあなたは本来『基本的価値』も『戦略的利益』を共有する重要な隣国なんだから、元徴用工問題では、しっかり日韓請求権協定を守ってくれよ!」「過去の歴史問題にとらわれすぎず、未来志向の関係を築こうよ!」というメッセージを切実に送っている形になっているのだ。

去年後半には、韓国が土壇場でGSOMIA=軍事情報包括保護協定の破棄をとりやめ、日本側も韓国への輸出管理強化について一部見直すなど、お互いに関係改善のためのカードを切る局面が起きた。今回の文言からは、その流れを肯定的に受け止めつつ、文在寅大統領を含む韓国側が、元徴用工問題をめぐっての日本企業の資産の現金化など、日韓関係が破綻するような行動をとらないよう釘を刺す意味合いが見て取れる。

茂木外相が元徴用工問題について「少なくともボールが韓国側にあるというのは間違いない」と語るとおり、このメッセージを韓国側がどう受け取り、国際法違反の状態解消に向けてどんな具体的行動をとるかが今後の日韓関係を左右することになる。

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