「手の打ちようがない」アライグマ九州侵食 捕獲数、10年で30倍に急増

農作物への被害をもたらす特定外来生物「アライグマ」の捕獲数が九州で急増している。環境省や各県によると、10年前には長崎、佐賀、福岡3県で計110匹だったのが、生息域は南九州まで広がり、九州全体で3千匹前後となった。特に近年は福岡、大分両県の伸びが著しく、家の屋根裏に居着く被害や、福岡市・天神近くの商業地での目撃情報も出ている。

同省九州地方環境事務所によると、九州では1997年、長崎県で初めて生息を確認。特定外来生物となった2005年度以降、九州北部で年間数百匹を捕獲していたが、カキやスイカ、ミカンなど農作物の食害が深刻化。各自治体が防除を強化し、10年度から捕獲数は2千匹前後、14年度は過去最多の3035匹に上った。生息域も広がり、15年度は宮崎県で2匹を捕獲。初めて九州7県すべてで確認された。

「駆除が追いつかず、手の打ちようがない」

 7県のデータがそろう14年度の捕獲数上位は、長崎1327匹、佐賀875匹、福岡638匹、大分193匹。前年度と比べて長崎と佐賀は減ったものの、福岡は2・5倍、大分は1・9倍に増えた。「福岡、大分は定着し始めている。餌場やすむ場所が多く、増殖しやすい環境にある」(同環境事務所)という。

福岡県添田町では、13年度からの3年で捕獲数が10倍になり、農業被害が相次ぐ。「スイカやトウモロコシが畑で作った分だけ荒らされている」と町担当者。イノシシを捕獲する金網を設置してもアライグマは金網をよじ登って畑に侵入。中には家の屋根裏に居着き、ふん尿で天井が腐ったなどの報告も3、4件あるという。担当者は「駆除が追いつかず、手の打ちようがない」と困惑する。

「餌になるものを自宅周辺に置かないで」

 一方、福岡市ではこれまで、脊振山系を中心に確認されていたが、今年は山里から離れた住宅街や商業地での目撃情報が続出。4月には早良区有田、5月には中央区警固からの通報があった。担当者は「アライグマは夜に移動し、街中にも出没する。餌になるものを自宅周辺に置かないで」と呼び掛ける。

いち早くアライグマ防除に取り組む佐賀県生産者支援課は「木登りの引っかき傷など、アライグマの兆候があれば、電気柵の設置が有効」と指摘。九州地方環境事務所は「箱わなの貸し出しや講習会なども実施しており、各県と連携して対策を進めたい」と話した。

【ワードBOX】アライグマ

 北米大陸が原産。日本には、アライグマを主人公にしたテレビアニメの影響でペット用に輸入されるようになったが、成長すると暴れるため各地で捨てられ、野生化した。夜行性の雑食で、年平均3、4匹を出産する。尻尾はしま模様で、後ろ足で立ち上がることができる。

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